晴山陽一

Profile

1950年、東京生まれ早稲田大学文学部哲学科(ギリシャ哲学専攻)卒業後、出版社に入り、英語教材の編集、経済雑誌の創刊、学習ソフトの開発などを手がける。元ニュートン社ソフト開発部長。1996年、自作ソフト『大学受験1100単語』普及のため、「英単語速習講座」を主催、全国各地で受験生の指導にあたる。1997年に独立し、精力的に執筆を続けている。 著書は『文法いらずの「単語ラリー」英会話』(青春新書インテリジェンス)、『「カタカナ英語」ではじめよう!』(角川フォレスタ)、『英語の見方が180度変わる 新しい英文法』『気がつけばバイリンガル 「英語で笑おう」』(IBCパブリッシング)など、100冊以上。

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読者にとって、最高のものを引き出せる人


――編集者、書き手と両方の立場を持つ晴山さんならではの本づくりですね。


晴山陽一氏: 編集者だったので、どういう順番で出したら一番仕事がやりやすいかを知っている、という部分もあると思います。「まずデザインを決めてしまうと楽ですよね。とりあえず1章分出しますよ」というと編集者は喜びます。実際に原稿を渡す段階では、「8章ができました、3章できました!」といったように順不同で原稿を出していきます。その際、「これは完全原稿ですから、どんどんデザインに入っていいですよ!」と言います。出したものからどんどん編集に入っていって、それで本ができるのですが、ゲラを見たプロの校正者に「初校なのに完璧です!」と驚かれたこともあります。このように、書きやすい章から完全原稿を渡していく、というのが私の執筆法です。

――晴山さんの考える良い編集者とはなんでしょう。


晴山陽一氏: 編集者には、もともと本が好きで、自分でも本を書きたいぐらいの人が多くて、自分のテーマを色々と持っている人もいますが、それが、仇になる場合もがあります。著者が本当にやりたいことの中に割って入って、自分の存在を主張してしまうような編集者もいるかもしれません。優秀な編集者だとしても、それでは執筆者も困ります。だから理想を言えば、著者と同じぐらいのレベルに立って議論もするけれど、著者の中から、読者にとって最高のものを引き出せる人であること。

私も3年前までは籠もりきりでひたすら書いていたのですが、最近は外に出て、読者など、色々な人と会っています。それまでは読者がなかなか見えませんでした。でも、読者が何を求めているかということは知らなければいけないし、上級・中級・初級と書き分ける場合、単に自分の中で勝手に想定するのではなくて、「初級の人が何に苦しんでいるのか」といったことをリサーチしないと、それに応えることができないのです。だからこそ編集者が間に立って、「皆さん、こういうことで苦労しているんですよ」などと、読者との繋がりを作ってくれる編集者はありがたいですね。読者ではなく編集者が喜ぶ本を書いても、良い本とは言えないと私は思います。

誰もがみんな「書ける」、電子書籍時代とネタ集めのノウハウ


――そういった本作りの想い、ノウハウは主宰する出版塾においても活かされています。


晴山陽一氏: 現在やっている出版塾のパートナーは、電子書籍の専門家です。本を執筆する上でのネタ集めとか、クリエイトするといった部分を私が担当して、パートナーが電子書籍の企画書の作り方から、最後にはKindleで出版するところまで指導します。ちょうど、第1期が終わったところなのですが、塾生が続々とKindleデビューをしています。電子書籍は、ネタさえあれば10年で100冊の本を作ることも可能なのです。1冊出したら死んでもいいというのではなくて、電子書籍で50冊、100冊出すぐらいの意気込みで、生活自体を変えてほしいと私は言っています。私が実際にしていることなどを話して、「まず書ける状態になってください。こうやればその状態になれますから」というと、みんな驚きますが、何も難しいことではありません。これだったらどんどん出せるという「執筆体質」をまず作って、それを個々の作品に結び付けていくという形なのです。

全員が著者になるということを、この塾では目指しています。多くの人が本の書き出し部分でつまずいてしまいます。書き出しは本の中でいちばん書くのが難しい部分であり、しかもここを突破しないと残りを書けないと思い込んでいるので、序文や第1章で身動きがとれなくなってしまうのです。そこで、「私のやり方はこうです!」という話を30分しただけで、「危機を脱しました。やり方を変えて進めます」と、すでに本を出されている方からも言われたことがあります。出版塾はいくつかありますが、私の場合は、低額でも親身に指導して、全員が著者になるというところを目指しています。

――第2期は、どのようなことに力をいれていきたいと思われていますか?


晴山陽一氏: 本だけでなく、人生そのものをクリエイトする秘訣を、どんどん広めていきたいと考えています。それは本を書くためのテクニックではなくて、生き方そのものだと私は思っています。2期目に入って言っているのは、「クリエイトという言葉は単に作品を作るという意味ではなく、この塾では人生そのものをクリエイトするという捉え方でやっている」ということ。そのことを誰でも簡単に実習できるようにしたいと思っています。

すべては驚きと喜びのために


――ノウハウを惜しみなく出されるのは、どんな想いからなのでしょうか。


晴山陽一氏: ノウハウを囲い込むということは一切考えていません。みんながいい本を書けるようになってほしいと思います。誰かがベストセラーを書くということは、それを読んだ何十万人の人たちが喜ぶわけだから、私にとってはそっちの方が大事。第1期の塾生は10人ぐらいなのですが、「企画書ができました」とか「最初の章が書けました」とか、できあがった段階で、夜中の3時、4時でもメールがきます。私は、それが何時であろうとも「よくやったね」とか「ここを直して」などと対応するようにしています。だから「晴山先生は寝てないんじゃないか?」などと言われることもあります(笑)。夜のTwitterでの英語塾も無料でやっていますが、みんなの反応を見ているのが楽しくてしょうがないので、このスタイルでいいと私は思っています。

著書一覧『 晴山陽一

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