――今後追加されたらいいなと思うサービスや、こうなったら便利になるなと思われるものはありますか。
永田豊志氏: そうですね、僕自身はかなり本を買う方なので、電子化して置いておきたいというのはすごくニーズとしては高いんですけど、実際に自炊をするのは非常に面倒くさいですし、数が多いので本当にその作業だけで膨大な時間がかかるわけじゃないですか。そういった面がもっと手軽になるといいなあと思うことは多いですね。
――裁断の作業など、ご自身でやられるんですか。
永田豊志氏: うちは会社のメンバーがやってくれるんですが、綺麗にやるとなったら時間かかりますよね。表紙など紙質が違うと一緒にスキャニングできないとかいろいろあるので、本当は最初から全部デジタルデータになっていればいいとは思うんですけど。
――書籍は月にどのくらい購入されますか。
永田豊志氏: 月に10冊から15冊くらい、ですかね。
――全ての書籍、目を通されますか。
永田豊志氏: すぐに通すものと、ちょっと放置して後から見るものとありますね。あとは資料と割り切っているので、全部を読むわけではなくて、大体中身が把握できたら後半は読まないという様なものもありますし、結構パラパラめくって、もう読まないという場合もありますし。立ち読みしていれば別なんですけど、アマゾンでレビューとタイトルで決めて買っちゃったりしている場合は、想定と違っていたりするともう読まないという場合もありますね。
――1冊の本を書くときの参考資料はどのくらい読まれるんですか。
永田豊志氏: どうでしょうね。2、30冊じゃないですかね。
――1冊の本を仕上げるのに、どれくらい期間がかかるものなんですか。
永田豊志氏: だいたい6か月くらいですね。年に2回くらいのペースで書いていますので、平均6ヶ月くらいですね。100パーセント書く前に全部予定のタイトルとか内容、章立てとかっていうものも決まっていますので、それに沿って基本的には書きますね。ただ予定していた章が実際に書いてみるとあんまりおもしろくなかったりすると、章自体を削ったりすることも多いです。そこは書いていく中で調整ですかね。
――今後の電子書籍が普及した中での出版社の役割は、どういったところに意義があると思いますか。
永田豊志氏: 既存出版社のアドバンテージは、紙の本を流通させることができるということに尽きると思います。全部を電子書籍で読みたいと思っている人は少数派ですから。しかし、一方で電子版も紙の本にバンドルしてもらってもいいのではないかと考えます。
――どういった形の電子書籍だったら読みやすいと思われますか。
永田豊志氏: iPadとかKindleとかを持っていれば、じっくり読むときには便利でしょうが、iPhoneなどを使って移動中に読みたいというニーズも高いと思います。それであれば、Text to Speechなど読み上げ機能とか、スマートフォンに最適化された検索機能があるとか、独自の機能が欲しいですね。
――電子書籍が今後もっと普及して、読み手にとっては読書スタイルの変化はあると思いますか。
永田豊志氏: 電子化するメリットというのは携帯性ということだけではなくて、情報をシェアしやすくなるということがあると思うんですよね。今は例えばホームページであっても、このページの情報が面白いと思えばそれをシェアしたりとか、『いいね!』ボタンを押したりすることができるのと同じようなことを、1冊の本の中で『この部分のセリフがいい』とか『ここの展開がおもしろいよね』みたいなことを読者同士で共有することができる。それが可視化されていって、仮に1章目があまりにもおもしろくなくて読み進めるのをやめようかなと思った人が、3章にものすごい盛り上がりがあることをソーシャルを通じて発見し、頑張ってそこまで読んでみようかなと思うとかですね。あと、資料として使うような僕みたいなタイプが、1冊のビジネス本全部を読まなくても、『ここだけ読んでおけばいいよこの本は』というのがわかれば、買ってそこだけ読むかもしれませんよね。そういった使い方ができるんじゃないかなと思いますね。
著書一覧『 永田豊志 』