美容と健康で豊かな社会を実現する
1976年創業の子宝治療院、東京ボディセラピストサロン、東京身体療法研究所主宰、銀座エミールの総院長を務める骨盤矯正の創始者、山田光敏さん。新生児から100歳まで、美容から健康まで女性をトータルにサポートされています。「ひとりでも多くの方に正しい施術を」という山田先生の根源にある想いとは。
女性の人生をサポートする
――子宝治療院の創業から40年、多くの方を治療されています。
山田光敏氏: 母が初代で、出身地である北海道・札幌で施術所を始めました。私の母は、体があまり丈夫ではなく、色々な治療院に通う中でカイロプラクティックに触れ、“病気の治療”ではなく“体の改善”に着目しました。その施術は多くの方に支持を得られ、全国の方に来て頂くため1981年に東京に拠点を移しました。その母親の背中を見て、当初教師を目指していた私も、この世界に入ることを決意し、東京で開院しました。
私の治療院は「骨盤矯正」や「O脚矯正」「小顔矯正」「子宝マッサージ」「斜頭症手技矯正」といった手技療法の元祖として、また、「リンパドレナージュ」の日本で初めての治療院(サロンも含めて)を開院し、今までに数十万人との方がお越しくださっています。
当初は「美容矯正」という観点から見てきましたが、私自身、過去に脳内出血や骨盤骨折を経験し、自分自身の試行錯誤を経て、症状緩和の分野に入っていったのです。健康な女性の美容というものだけでなく、本当にからだ全般の施術を行ないたいと考え、トータル的な施術に取り組み始めたのが、今から20年ほど前のことです。美容専門サロンから出発した私のサロンは、今では障碍を持った生後2ヶ月の赤ちゃんから、美容目的の女性、子宝に悩む女性、寝たきり状態になってしまった女性まで、女性の人生を通して全てに亘ってサポートできる、本当の意味での“女性専門サロン”となりました。
全ての糧となる「本」
――ご自身と、多くの患者さんを診てこられた経験を本にまとめられています。
山田光敏氏: 私が行う骨盤矯正は、人間の自然な形に基づいて行っています。例えば、一般的に同じと思われているひざ下の長さは、左右違う人が多いのですが、足の長さを揃えて「ゆがみを直す」ことせず、違いを前提に自然な形へ戻すのです。人間が本来持っている力=健康力を最大限に引き上げていくのです。幾多の大怪我を経験した私ですが、マヒは残るものの日常生活に支障を来すことなく生活できているのも、そうした健康力の引き上げができたからこそ。ひとりでも多くの方に、本来持っている健康力や美容力をうまく引き上げてあげたいという思いで、情報を発信しています。「骨盤矯正」や「O脚矯正」などは、当初「そんなものが治るはずがない」と言われてきた施術法でしたが、本やメディアで少しずつ発信してきたことで、ようやく医療の世界でも認知されてきました。
また、「骨盤矯正」という言葉が一人歩きしてしまっているので、正しい理解を広めたいという想いもあります。最初の出版は、祥伝社の編集者が、私どもが取材を受けたテレビ番組を見て声をかけてくれたのがご縁で始まりました。私にとって編集者は、一つの作品を出す中でのパートナーです。私の想いを形にするためには、ひとりでは無理なのです。編集の方との共同作業があって初めて、一つの作品になり、世に出ます。パートナーとなる編集者や出版に関わる大勢の方々がいて、初めて本を世に送り出すことができるのです。
――山田先生にとって「本」とは。
山田光敏氏: 私は、来院する小さな子どもたちに、1日5冊の本を読むように勧めています。大人の思考に触れることが出来る読書経験の有無は、その後の思考力に大きく影響してきます。読書をする子は、物事の理解力が高いと思います。DVDを出す時にも、必ず書籍とセットで出しているのはそのためなのです。
私自身も、本は全ての糧だと思っているので、本のない生活は考えられません。例えば異文化理解に置いても、読む力が備わっていれば理解することが出来、また相手がどのようにすれば理解を示してくれるかも、わかります。そうした思考力は、全ての根源であり読書によって伸ばすことが出来ると思っています。
もちろん、我々大人も一緒です。勉強をやめれば、あとは下り坂。先人たちが積み重ねてきた知識を得ることで、新たな学び、発見が得られます。例えば、大正時代は50代の妊娠がすごく多かった、という事実があります。では、大正時代の玄米と少々の味噌と野菜中心の食生活が妊娠を促したのかというと、必ずしもそうでありません。その食事は糖質80%を超えますから、今やると、炭水化物過剰になってしまいます(笑)。
なぜ当時の人は、糖質80%の生活で妊娠できたのかというと、それは運動量があったからです。当時、自転車はほとんどありませんでしたので、歩行数が、今と昔では、全く違います。そういう時代背景を知った上で、今の食事というのを考えなければいけません。
たまに治療院に来る方で「子どもが欲しいので、大正時代の食事メニューを再現して食べているんです」という方もいますが、私は辞めるようにアドバイスしています。そうした正確な知識を私に教えてくれるのは、当時の日本人が書き残してくれた本なのです。私にとって「本」とは先人たちが積み重ねてきた知識の宝ですね。