吉田典生

Profile

1963年、三重県伊勢市生まれ。関西大学社会学部卒業後、ビジネス誌の編集・記者を経て、90年よりフリーランスのジャーナリストとして活動。主に「人と組織」に関わる分野を中心に、数多くの月刊誌、週刊誌等を舞台に取材、執筆。20代後半から30代半ばにかけ、1000名超の企業経営者、ビジネスリーダーをインタビュー。その過程で興味を抱いたリーダーシップ、マネジメント等に関する学習をつづけ、 2000年に(有)ドリームコーチ・ドットコムを設立。以降、日本におけるビジネスコーチング分野の開拓、リーダーシップの裏側にあるフォロワーシップに視点を当てた企業研修プログラムの開発など精力的に活動中。

Book Information

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いまはメジャーとインディーズの境目がなくなる時代。
電子書籍にはまだ見ぬチャンスと可能性がある。



組織変革コーチとしてご活躍の吉田典生さんは1963年、三重県伊勢市に生まれ、関西大学社会学部卒業後、ビジネス誌の記者を経て、フリーランスのジャーナリストとして活動されている際に、リーダーシップ・マネジメント等に興味を抱き、2000年に(有)ドリームコーチ・ドットコムを設立。以降、日本におけるビジネスコーチング分野の開拓に貢献し、常にチェンジメーカーとして活動されています。ビジネス書の著者としても著名で、『ビジョンマッピング~やる気を創る技術~』、『部下力~上司を動かす技術~』、『上司を動かすフォロワーシップ』その他多数ご著書があります。自らも電子出版をされている吉田さんに、本と電子書籍について伺いました。

学生時はマスコミュニケーション専攻、ゼミの教師は元電通


――早速ですが、吉田さんのお仕事について教えていただいてよろしいですか?


吉田典生氏: この仕事をして、今年13年目になりますね。3分の1ぐらいが一対一のいわゆるコーチングですね。クライアントは経営層の方が多いです。あとの3分の1ぐらいが、組織全体にかかわっていくような、一般的に「コンサルティング」というくくり方になるビジョン作りや、それを行動につなげていく合意形成やチーム作りの仕事をしています。組織的な仕事をする時は、色々なクライアントのところに行って張り付きで仕事をしている感じです。残りの3分の1位がいわゆる企業研修の仕事ですね。自分がコーチングやコンサルティングで日常成果を上げているアプローチ方法や考え方を皆さんにお伝えしています。

――もともとは関西の方ですね。関西大学のご出身でいらっしゃると伺いました。


吉田典生氏: そうですね、関西大学社会学部のマスコミュニケーション専攻という変わった学科でした。しかもゼミが、電通の元クリエイティブ・ディレクターで植條条先生という、その筋では有名な人なんです。『宣伝会議』の看板講師だった方ですね。ちょうど僕は今年50歳になるんですけれども、学生時代はバブルの前なんですよね。いわゆるサブカルチャーとか、『宝島』なんかが盛り上がっていたころです。糸井重里さんや仲畑貴志さんとかのコピーライターが花形でした。林真理子さんもまだコピーライターから作家になる前後ぐらいで。「これ学問っぽくないからこれにしようか」みたいなノリで選びましたね(笑)。だから勉強してないですよね。会社も気前よく学生にお小遣いをやって「お前ら、何かやってみな」みたいな感じで、企画グループみたいな学生の集団をうまく使って、「やらせてあげるから好きにやってみな」みたいな雰囲気がありましたね。

―― われわれの時代からすると夢のようですね。


吉田典生氏: 大手企業からお金をもらって、社会勉強をさせてもらいました。だから、キャンパスに入学して入って、何かの縁でそういうグループに誘われて、学生企画集団に所属することになったんですよ。3年生、4年生の人たちは、学校に来るというよりは大手飲料メーカーのS社とか、大手広告代理店のD社とかに行って、それで打ち合わせして何だかんだみたいなことをやっている人たちでしたね。だから、その人たちと接していると、ほかの圧倒的多数の学生がすごくつまらなく見えた。そういう先輩たちに引きずり回されて遊んでいたのが失敗の元でしたけどね(笑)。それで、時代がバブルに向かう流れだったので、すごくお金のにおいがプンプン漂うような、何かそういう空気が僕らの周りにもあって。それは俺ちょっと違うなみたいな風にも感じ始めて、世の中の空気に逆行するように、バンドを呼んでイベントを企画したり、そんなことをしているうちに書くようになったんですね。

上京してみて、対面した厳しい現実とは


―― そのころから、書き手として発信する立場にいらっしゃったんですね。


吉田典生氏: フリーペーパーとかそんな類ですよね。バンドの作詞なんかもしていました。そうしたら東京のプロダクションの方とつながりができて、そのころがちょうど、就職活動の時期と重なっていて「じゃあこっちにきてみたら」みたいな話になりました。それがまた失敗の元で(笑)。それで上京したら何とかなるだろうと思って行ったら、多少、宣伝とかPRの原稿とか書かせてくれるんですが、それで原稿料をもらっても、電車の往復やアパートに帰るお金を考えたら赤字になる。「これは話にならないな」っていうのが東京生活の始まりなんです。

―― 意外なエピソードですね(笑)


吉田典生氏: 東京に来て初めて、「これは就職という入り口ではないんだな」というのが初めて分かったばかな学生でしたね(笑)。それから放送作家とかディレクターの会社に所属して、最初1年間はずっと日テレや文化放送とかで構成作家として仕事をしていたんですよ。でも仕事はADです。周りがバブルに浮かれる中、僕は時間もないしお金もなかった。もう放送局のスタジオに寝泊まりしながら編集をやって原稿を書いてみたいな暮らしを1年続けました。だから一番日本が盛り上がっていた時代に、一番貧乏だったという、もう究極のコントラストでしたよね。

―― 本を書くきっかけというのは何だったのですか?


吉田典生氏: 最後に勤めていた出版関連の会社が人事や経営に関する雑誌の編集を手掛けていて、その会社に3年いた後フリーになったんですね。だから「会社でこんなことをやっていました」というところから仕事をもらえるところがポツポツ出てきたんです。当時は人材不足の時代で、いまと逆の売り手市場でしたので、就職関係のことがすごくよかったんですね。いわゆる就職情報誌の記事を書いていたら、その流れで学生向けの就職ノウハウ本の依頼が来たんです。僕は自分の著書として出すつもりは全くなかったんです。ゴーストライターのつもりで原稿を書いて、本ができて、送られてきたら僕の名前になっていたんですよ(笑)。びっくりしました。『女子学生のための就職ベストレッスン』とかいうタイトルで出ましたね。

――人とのつながりやきっかけでいまのお仕事につながっているのですね。


吉田典生氏: そうですね、これはライターの時も、いまの仕事を始めてからもそうだと思うんですけれども、僕がやってきた仕事って売り込みにくいところがあるんですよね。売り込むと「こいつ仕事がないんだ」みたいに思われる。コーチとかコンサルティングもそうなんです。だからやっぱりいま、自分がかかわっている仕事がどう評価されるかとか、そこで何が生まれるかというのが、全てというのは言い過ぎかもしれないですけれども、まさに営業にもつながっていくのかなという風には思いますね。

息切れせずに走り続けるコツとは



――13年というのは本当に長い期間だと思います。それをフリーランスとしてやってこられた、走り続けるコツというのは何かありますか?


吉田典生氏: 走り続けないことだと思います。例えば1日の中でも、止まる時間があるとか、モードを変える時間を持つこと。1週間の中で、少し長めにリフレッシュする。それから1年に何回かは、例えば海外とか旅行に行く。よく僕は、仕事でもリトリートって言うんですけれども、完全に自分を解放する場を持つようにしています。年末も河口湖で、あるワークショップに参加していたんです。窓を開けたら富士山みたいなところに3日間いて、完全にモードが変わるんですよね。すごく大事なことです。自分がアウトプットするだけじゃなくて、やっぱりインプットとアウトプットのバランスが大事だと思うんです。自分が色々発信をしている人ほど、ちゃんとインプットする時間を取っていますね。あと僕も自分自身にコーチを付けています。

――コーチはどのような指導をされるのでしょうか?


吉田典生氏: やっぱり止まる時間ですよね。止まって自分を内省したりとか、自分の全体のバランスみたいなものを見てもらったり。自分のことって一番分からないと思うんです。だからそれを見ていくのを手伝ってもらってます。それがすごく大事だと思いますね。

――とてもバランス感覚を大事にされていらっしゃるんですね。


吉田典生氏: 走り続けているだけだと、自分で大丈夫だと思っていても、やっぱりどこかしら狂うと思うんですね。車のメンテナンスみたいなものです。気付かないうちにタイヤの空気が減っていたりとかね。ホイールバランスが狂っていたり、ブレーキを調整しないといけなかったり、自分じゃ気付かない。でも気付いた時ってもう危ない時でしょう。人間も一緒だと思います。

著書一覧『 吉田典生

この著者のタグ: 『コミュニケーション』 『就職』 『ライター』 『働き方』 『バブル』 『メッセージ』 『フリーランス』

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