ベリッシモフランチェスコ

Profile

ローマ出身。積極的に人生を楽しむ料理研究家。家族の影響で幼い頃から料理に親しむ。2001年に来日。2003年に日本語弁論大会一位受賞。2005年にイタリア料理研究会を設立。レストランのプロデュースやスーパーバイザー。NHK、フジテレビ、TBS、日本テレビ等に出演。 NHK出版、扶桑社、角川春樹事務所等に月刊誌連載。学校や公共施設においてセミナー・講演などを実地し、イタリア・ローマ・カラブリアの食文化を広める活動や世界食糧危機問題の理解を深める活動などを行っている。イタリア料理研究会会長を務める。
【個人サイト】
【イタリア料理研究会公式サイト】

Book Information

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本は読むだけでなく、自分でも書くべきだ。
そうすれば人生が豊かになる。



ベリッシモ・フランチェスコさんはローマ出身のイタリア料理研究家です。美学学校デザイン専攻卒業後、ローマ大学哲学部在学中に陸軍へ志願、チェサーノ陸軍歩兵学校卒(主計部付下士官)。2001年に来日。幼少のころより親せきのシェフのもと、カラブリア郷土料理に親しんだことを生かし、クッキングショー、料理教室、講演活動など日本とイタリアの架け橋としてご活躍されています。著書としても『イタリアンの基本とおいしさのコツ』(日東書院)『おうちでイタリアごはん』(ぶんか社)など、親しみやすく作りやすい本場の味を日本に紹介しています。そんなベリッシモさんに、日本とイタリアについて、本と電子書籍の未来について感じることを伺いました。

ビジネスチャンスを求めて日本へ


――昨日もテレビ番組に出演されていたのをお見かけしましたが、近況をお聞かせいただけますか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 『日立 世界・ふしぎ発見!』に準レギュラーとして出ています。

――ベリッシモさんは日本に来て約12年になられるのですね。イタリアでは美術学校にいらっしゃったと伺いました。


ベリッシモフランチェスコ氏: 僕は美術学校へ行ったあと、ローマ大学で哲学の勉強をしていたけれど、その間に悟ったのは、「ここにいても何にもならない」ということだった。そこで人生勉強のために軍隊に志願して、日本に来てみたんです。ビジネスチャンスがあるかもしれないと思ったから、お試しで1年だけのつもりでした。

――世界にはたくさんの国がありますが、なぜ日本を選ばれたのですか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 経済的に豊かで、アートやライフスタイルのある程度レベルの高い国を選んだんです。勉強になるでしょう。

――来日された時にはまだ日本語は勉強されていなかったんですか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 日本語はできなかったですね。だから最初は留学生として勉強しました。YMCAで。

――そこの日本語弁論大会でも素晴らしい成績を収められていますね。


ベリッシモフランチェスコ氏: 僕はあんまり勉強するのが好きじゃなかった。そうしたら先生が「じゃあ弁論大会に出なさい」と勧めてくれたんです。ほかの人は面倒くさいから出たがらなくて、「じゃあベリッシモ出たら?」と皆に言われたんです。それで、大勢の人の前で話したらすごく評判が良かったので、自分の中で「もう1回こういうことをやればいいかな?」と思った(笑)。今もテレビのトークショーや講演に時々呼ばれたりするけれど、そのスピーチコンテストがきっかけかもしれないね。

たばこは「営業」の小道具として使う



ベリッシモフランチェスコ氏: この場所は静かだし、たばこくさくなくて居心地がいいですね。

――たばこは吸われないのですか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 吸ってみたんですけれど、美味しくない。葉巻の方がいいね。でも、パーティーなんかの時には時々吸うフリをすることがあります。そのためにピアニッシモというたばこを用意してある。僕はベリッシモだから(笑)。僕は若いし、事務所にも所属していないので自分で営業しなきゃいけない。そんな時に、たばこを吸いながらリラックスしてどこかの社長さんと名刺交換するのに便利なんです。たばこを吸いながらこの安いギャグで笑う。そこからまた何かが始まるかもしれないでしょう。

――確かにそうですね。




ベリッシモフランチェスコ氏: 僕は、自分のマネジメントを自分自身で10年以上やってきました。日本に来た当時、無名だったので、事務所に所属するために色々まわったけれど、決まらなかった。だから自分でマネジメントを学んで自分ひとりでやることに決めたんです。自分で仕事を選べるし、大手に所属すると、仕事は増えるかもしれないけれど、もらえるお金は半分以下になってしまう。それならば自分でやって、自由な時間をその分作った方がいいよね。その方がコストパフォーマンスがいいから。

イタリアではiPadは盗まれちゃう


――電子書籍のお話も伺いたいと思います。ベリッシモさんは、電子書籍を使っていますか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 今回は電子書籍も交えてのインタビューということですが、電子書籍の悪口を言っちゃいけないの?

――大丈夫です。今は電子書籍よりも紙の方がいいということであれば。


ベリッシモフランチェスコ氏: 紙の方がいいっていう人は多くない?

――紙と電子書籍とを、コンテンツによって使い分けるという意見や、電子書籍だと、絵本とか地図とかを見る時には便利という意見などあります。


ベリッシモフランチェスコ氏: 地図? 盗まれるね(笑)。あと、壊されると思いますよ。イタリアもそうだけれど、ヨーロッパとか、こういうのを持ち歩いたらひったくられてしまう。こういうiPadとか見ながら歩いちゃうと危ないと思います。地図だったら紙の方がいい。価値が何もないでしょう。

子どものころからずっと空手をやってきた


――幼少期の読書や体験についてなどもお伺いしたいと思います。


ベリッシモフランチェスコ氏: 僕、子どものころからずっと空手をやっていたんですね。空手道場の礼儀と、あとはイタリア軍での経験が、僕に大きな影響を与えたと思う。多分それがなければ今ちょっと違う人間になっていたと思います。良い意味でも悪い意味でもね。例えば僕はよくスケベって言われるんですが、軍隊へ行ってなければそこまでスケベじゃなかったかもしれない。軍隊は男だけの生活で、普通はその後爆発するんですよね(笑)。

――どれぐらい軍隊で生活されたんですか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 僕は軍隊に1年行ってから日本に来たんです。短い方ですよ。1年軍隊に入って、そして1年日本に来て、その後はもし日本でうまく行かなければまた軍隊に戻ればいいという考えでいました。

――日本語はどのように勉強をされていましたか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 日本の日本語学校は9割以上、韓国人、中国人の生徒なんです。そのターゲットに合わせてレッスンができている。中国人、韓国人向け。でもイタリア人向けはない。イタリア人は漢字を見たことがないでしょう。でも韓国人とか中国人は漢字を理解しているから、学習が進むのが速い。でも僕はあんまりそういうことを気にしないで、自分でやさしい日本語の本を買って毎日自分で漢字を書きました。例えば「山」とか「川」からスタートするんですよね。それを毎日1列ずつ暇な時に何ページか書く。それを2年3年と続けて、日常に役立つ日本語を覚えました。今は読めるけれど書けないですね。全部Wordとかメールでしか文を書かないから。携帯とかを打つのにはいいんだけれど。

アナログは残るもの、デジタルは気を使って疲れる


――本を読む人が日本では少なくなったという風に言われているんですけども、イタリアの人は本を読まれますか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 多分イタリア人はヨーロッパの中で一番本を読まないと思います(笑)。本を読むためには時間の余裕が必要でしょう。イタリア人は日本人ほど会社にいないし、早く帰って、何をするって言ったら、女性とデートを楽しむ(笑)。あと、食事の時間も長いですね。

――イタリアの一般の人たちは、夕食にどのくらい時間をかけるのでしょうか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 場所によるけど、ワインを飲んでも飲まなくても、2時間かけることは普通。コースだから、食べ物が同時に出ない。一品食べて、ちょっと待って、また違う一品を食べる。だから同時に食べないから長い。おしゃべりしたり、色々な人と交流する。本好きはいるけれど、日本に比べると全然レベルが違いますね。

――ベリッシモさんご自身は読書をされますか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 時々読みますよ。昔の方が小説とかをもっと読んでいたね。今は時間がなくてあまり読めないし、仕事上、料理本が多くなっていますね。

――ベリッシモさんが書いた本を読者が電子化して、電子書籍で読むことに関して、何か特別にお考えはありますか?


ベリッシモフランチェスコ氏: まぁレシピ本だからね。レシピ本の場合は紙の方が良いかもしれない。曲げられないし、普通の主婦はガスコンロの隣に置くでしょ。紙ならページが汚れても問題ないけれど、iPadとかだと、汚れたら大変でしょ。熱で画面が溶けたりするし。水の中に落としたらおしまいですよね。それが心配ですよね。面倒くさいし、気を遣う。疲れるでしょ。

――確かにそれはありますね。


ベリッシモフランチェスコ氏: あとアナログの場合は何十年も残る。昔はアナログで写真を撮っていたんですね。親の写真とかおばあちゃんの写真が残ってるんですけど。この10年間全部デジタルだから、10年前、5年前とかデジカメで撮った写真がもうない。印刷もしないしパソコンでたまに見るだけで、ハードディスクが壊れたらおしまいだと思う。「あれ、どこ行っちゃった?」っていう。あと今携帯で撮っているものは、携帯を変えたらもうパァですよね。

――今おっしゃっていただいたことっていうのは紙の良さでもありますよね。パラパラめくって、水が落ちても大丈夫。


ベリッシモフランチェスコ氏: 紙はちょっとふけばいい。機械は壊れる。だから電子書籍も紙より良いものになれば皆そっちの方いっちゃうと思います。ニュースとか新聞は電子デバイスで見るのがいい。でもKindle、iPadが良くないのは目が疲れることですね。眠れないですよね。iPadを読みながら寝ると落とした時、顔に当たって痛い。あと、ちょっと斜めになっても紙だと普通に読めるでしょ。iPadだったら画面が反応する。回転するのをブロックすると今度は読みにくい。やっぱり頭が90度180度だけじゃないからね。若干違うでしょ。こういう調節ができない。僕はよくね、iPadを使っていて、海外へ行くとiPadで仕事するんですね。でもiPadで読んだり、ベッドで寝ながら見るのは無理です。この前友達がiPad用のキーボードを買ったんです(笑)。意味なくない? 確かにiPadキーボードはいいよ。メールがすぐ書ける。でもiPadの意味がない。

――電子書籍ならではの可能性についてはいかがですか?


ベリッシモフランチェスコ氏: 機械の技術がまだ低過ぎますね。それが良くなれば普及するでしょう。アプリの仕事の依頼が来たんだけど、お金にならないんですよ。だって番組と同じ予算が必要なんです。カメラマンがいてキッチンスタジオが必要、あとはきれいに見せなきゃいけないからフードコーディネーターも必要。レシピ、スタッフ、材料。それは何百円のアプリじゃ今の段階では無理ですよ。だから料理で人気のあるアプリは、やっぱりクックパッドみたいな普通の人が無料で自分のレシピを掲載するような、料理のWikipediaみたいな感じになるかな。

著書一覧『 ベリッシモフランチェスコ

この著者のタグ: 『可能性』 『紙』 『アナログ』 『日本』 『食』 『メリット』 『留学』 『料理研究家』 『レシピ本』

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